posted by らりひょ
at 21:22:09 │
EDIT
夢を見た。
青黒い海で、愛しい女性と暮らす夢だ。
一緒に暮らすようになった日、彼女から腕時計の形をした羅針盤をもらった。
あなたが海で迷わないように、とほほ笑む彼女は本当にきれいだった。
彼女は海でしか生きられない。
家は深い青の海の底、眠りに就いた鯨のような沈没船の空気だまり。
空は窓から見えないが、群れ泳ぐ魚の影は鳥さながらに飛び回る。
それを眺める横顔は、夢を見る少女のようだった。
時折、彼女とともに海面へと遊びに行った。
きらめく月明かりを浴びて、紺碧の空に無数に散らばる星を眺める。
岸辺に寄せる波模様に、彼女はこんなレースを編みたいと言った。
君の指に絡める糸はどんなものがいいだろう。
時をこごめたように潮の流れは穏やかだったが、彼女は年老いていく。
そして私も。
起き上がることもできずに小さく息をする彼女の手を取った。
しわだらけになったそれを頬に寄せると、まだ生きた熱を帯びている。
彼女は微笑んだ。
振り返らずに行ってちょうだい。私も行くから。
それが彼女の望みだった。
青黒い潮流に乗り海面を目指す。
渦に巻かれる苦しい瞬間を抜けると、月明かりがまぶしい。
さざ波ばかりが響いて彼女の声は聞こえない。
気がつけば、あの羅針盤はなくなっていた。
そんな夢を見た。
----------------------------------------------------------------------------------------
実際の夢はこのあと、サメに食われるところで終ります。
テンポ的には今の技量ではここまでがキリがいいので、こんな形になりました。
EAT ME!
BITE ME!
げんじつはキビシイわぁ。
PR